序文 ― ある魂の故郷への旅路
ある旅路は、道のりではなく、一人の人間の生涯にわたる変容によって測られます。文化大革命の熱烈な紅衛兵として、党の理想を盲信し自らの手で寺院を破壊した過去から、真の解脱の道である「真の法」を求めて三十年もの間アジア中を放浪した孤独な雲遊僧へ。馬長生(マ・チャンシェン)氏の物語は、探求と悔い改め、そして信仰の非凡な力についての叙事詩です。
無神論の思想の中で育った一人の青年が、なぜすべてを捨て、苦難に満ちた精神修養の道へと足を踏み入れることができたのでしょうか。死に瀕した事故と、夢枕に立った高僧が道を指し示した不思議な夢が、彼の運命を決定づける転機となり、人生の大きな問いへの答えを探し、過去の過ちを償うよう彼を突き動かしたのです。
一生の雲遊、万般の劫難
馬氏の三十年にわたる旅は、最も過酷な試練の連続でした。雪に覆われたチベット高原の山頂から南方の熱帯雨林に至るまで、彼は飢えと寒さ、病、世間の冷たい視線、そして生命を脅かす危険に耐えました。彼は深山に隠棲する真の修煉者に出会い、悟りを開いた人々の非凡な遷化(せんげ)を目の当たりにしましたが、「そなたの縁はこの地にはない」という謎めいた言葉で、数え切れないほどの拒絶にも直面しました。
無数の寺院や道観を訪れ、多くの修行者と出会いましたが、彼が渇望した真の法は、まだ遠くにあるかのように思われました。彼の旅は単なる外面的な探求ではなく、心性を鍛え、執着を削ぎ落とし、自らが歩む道が正しいという鉄の信念を固める過程でもありました。
光を見出し、大嵐に立ち向かう

三十年にわたる放浪の末、晩年に差し掛かった頃、運命はついに彼に微笑みました。北京のある早朝、彼は偶然、優雅で慈悲深い音楽に合わせて、穏やかで荘厳な精神修養法を実践する人々の集団に出会いました。彼らと共に初めて座禅を組んだその瞬間、彼の天目は突如として開き、自らの壮絶な前世と天国世界の輝かしい光景を見せられたのです。彼はすぐに、これこそが自分が三十年間探し求めてきた真の大法であると悟りました。
「真・善・忍」の法理の光に浸った歳月は、彼の人生で最も穏やかで幸せな日々でした。しかし、それは大嵐の前の静けさでした。1999年に中国共産党が発動した残酷な迫害は、平和的な修煉者たちを国家の敵に変えました。再び、馬氏は新たな劫難に直面しなければなりませんでした。それは深山での飢えや寒さではなく、逮捕、拷問、そして非人道的な弾圧機構の残酷さでした。
結び ― 不滅の信念の証し
『俗世間へ』は、一人の人間の波乱に満ちた人生を描いた単なる回顧録ではありません。作家エイヴリー・リンによって丁寧に記録された、馬長生氏の素朴で誠実な語りを通して、本書は暴政に立ち向かう信仰の力の鮮やかな証しとなっています。それは、道がいかに険しく、魔難がいかに大きくとも、真に道を求める心を堅く守れば、光は必ずや現れることを示しています。これは感動的な物語であり、生涯をかけて真の法への帰還を求めた一人の男の勇気の叙事詩であり、また、この特別な時代において、全ての生命が下さなければならない選択についての深遠なメッセージでもあります。
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